ご門徒さまへ

浄土真宗のご門徒として知っていてもらいたいことをまとめました。

第一章 作法

仏具

1. はじめに

仏具は決して投げたり、畳や床の上にじかにおきません。丁寧にあつかいましょう。一人一人が、かならず持つようにしましょう。

2. 聖典(せいてん)

お経は、お釈迦さまの説かれたみ教えをインドの文字で書き残したものです。それが中国に伝わり漢字に訳され、日本に伝わりました。このお経や親鸞さまがお書きになったものなどをまとめたものが「聖典(せいてん)」です。聖典をひらく前と閉じた後には、聖典をいただきます。聖典の下がおおむね目線の高さになるぐらいまで、静かにもちあげましょう。

3. 念珠(ねんじゅ)

合掌の時は両手にかけて、ふさを下にたらし、親指でかるくおさえます。合掌しないときは、左手にもちます。

4. 門徒式章(もんとしきしょう)

仏事に際しては、僧侶も門徒も服装をととのえます。門徒の方は、念珠とともに門徒式章を着用しましょう。

合掌礼拝

1. はじめに

合掌(がっしょう)人間の一番うつくしい姿が手を合わす「合掌」です。

称名(しょうみょう)口に「ナモアミダブツ(南無阿弥陀仏)……」とお念仏をとなえることを称名といいます。合掌をしたら小さな声でも称名しましょう。

礼拝(らいはい)合掌したまま頭を下げることが礼拝です。礼拝は祈ることではなく、「仏さまのお徳をたたえ、敬い感謝すること」ですから「お礼をする」ともいいます。

2. 作法

1.
両手を胸の前に合わせて、親指と他の指との間に念珠をかけ、親指でかるくおさえ、指をそろえて約45度上方にのばします。
2.
肩、ひじをはらず自然に背筋をのばし、ご本尊をあおぎ称名します。
3.
合掌したまま上体をゆっくり前にかたむけて礼拝(角度は45度くらい)。
4.
静かにもとの姿勢にかえり、両手をそっとおろします。

焼香の作法(立って行う場合)

1.
焼香卓(しょうこくじよく)の手前で立ち止まって御本尊に一礼し、左足から卓(じょく)の前に進みます。
2.
香を、右手で一回だけつまみ、いただかずにそのまま香炉に入れます。
3.
合掌して「南無阿弥陀仏」とお念仏をとなえてから礼拝します。
4.
右足から後退し立ち止まって一礼し、退きます。

第二章 仏壇

仏壇

  • 仏壇は、ご本尊(ほんぞん)(阿弥陀如来)をご安置するものです。「お内仏(ないぶつ)」ともいいます。
  • お仏壇は死者をまつる場所ではありません。位牌(いはい)はもちいません。
  • 仏壇は家庭のなかで最も尊厳(そんげん)な場所であり、家庭生活の中心となるものです。
  • 仏壇は「心の鏡」です。いつもお荘厳(おかざり)をきれいにすることを心がけ、お給仕(花を替えたり、仏飯をあげたり、お供えをしたりする事)を大切にしましょう。

お荘厳(おかざり)

1. 仏具の名称と配置

お仏飯(ぶっぱん)
華瓶(けびょう)
供笥(くげ。お華束(けそく)とも)
ろうそく立て
香炉(こうろ):(手前は)土香炉(どこうろ)
(奥には)香炉台(こうろだい)、その上に金香炉(かなごうろ)
花瓶(かひん)
打敷(うちしき。大きさは卓(じよく)より少し大きめ)
経卓(きょうじょく。経机(きようづくえ)とも)
御文章箱(ごぶんしょうばこ)
きん

※普段は、「②華瓶」にシキミはいりません。「③供笥」もしまいます。
[④・⑤・⑥]は「三具足みつぐそく」にします(説明は次項)。「⑦打敷」もしまいます。

2. 三具足みつぐそく五具足ごぐそく

  • 「④ろうそく立て~⑥花瓶」には二種類のかざり方があります。

3. 過去帳

  • 先祖の記録帳です。中段か下段あたりにご安置しましょう。

4. 供物について

  • 法事の時、供笥(くげ)の上にそなえます。
  • 餅が基本で、つぎに菓子や果物を対にします。肉や魚のたぐい、お酒は供えません。
  • 法事以外でも、いただきものはまずお供えし、お下がりとして頂戴しましょう。

日常のお給仕

1.
お仏飯は朝そなえ、昼までに下げます。盛り方は蓮のつぼみのように。
2.
お茶や水はそなえません。他宗のお札もいれません。
3.
花瓶に四季それぞれの花を供えます。毒花やとげのあるものはさしひかえます。造花はもちいません。葬儀や中陰には、赤い色の花は避けます。
4.
線香は立てずに、短く折って横にしてたきます。本数に決まりはありません。
5.
掃除は、まず羽ぼうきで軽くほこりをとります。金箔部分は拭かないように。

第三章 勤行

朝の勤行

※一日を仏さまへの挨拶から始めましょう。できる時は家族一緒でつとめましょう。

1. 作法

1.
衣服をととのえて、念珠(ねんじゆ)、またあれば門徒式章を身につけます。
2.
a灯明をあげ、b香をたき、cお仏飯を供えます。
3.
合掌・礼拝(らいはい)し、勤行(ごんぎよう)をはじめます。勤行の基本は「正信偈と六首引、御文章」です。時には他のおつとめ(「讃仏偈(さんぶつげ)」など)、「みじかいおつとめ」でも構いません。
※正信偈六首引は「ついたち礼拝」で行っています。
4.
おわりに再度、合掌・礼拝。灯明がついていれば消し、お仏飯をさげます。

2. ご命日(祥月命日・月忌)

故人の当月の命日を祥月(しようつき)命日、さらに月々の命日を月命日(つきめいにち)(月忌(がつき))といいます。
浄土に先立っていかれた方の「ご命日」を、お念仏のみ教えを聞かせて頂く大切なご法縁(ほうえん)(勤行)としましょう。

3. 十六日

親鸞聖人の月命日です。できるだけ家族そろってお勤めしましょう。

4. お夕事

夕食の前も、仏前で合掌・礼拝、勤行(『重誓偈』など)をしましょう。

夏の仏事:盆づとめ

  • 7月中旬から8月上旬、一部の地域で行っています。ご希望の方はお電話ください。
  • お荘厳は普段通りの「三具足」です。打敷は夏用があれば用意ください。
  • お勤めは「讃仏偈(赤本の64頁)」、そして「領解文」を唱和します。

最も大切な仏事「お取とり越こし」

  • 本来は「報恩講(在家報恩講とも)」と言います。親鸞聖人の祥月命日(1月16日)をご縁としてつとまる法要です。
  • 事前に仏壇を整理し、掃除と仏具を入念にみがきます。お荘厳は五具足、仏華は松を中心とした仏華、供物は餅を中心とした供物です。最も丁寧にします。
  • お勤めは「正信偈」です。

第四章 法座

はじめに

浄土真宗の特徴は、なんと言っても法座です。彼岸、お盆に関らず、年中行います。

法話(お説教)を聞くことを「お聴聞」といいます。説教ときくと「難解」なイメージがありますが、わかりやすくお話しくださるご講師がほとんどです。

聴けば聴くほど味わいが深まっていきます。年に一度は必ずお聴聞しましょう。

準備

服装は平服で結構です。お念珠を持参しましょう。門徒式章、また「せいてん(赤本など)」があればなおいいです。

※また、はじめて参加の際「参拝カード」をさしあげています。法座に参るたびにシールをつけます。お参りのはげみになればと思います。カードがたまれば粗品を進呈いたします

本堂

座る席を確保します。みな自由席です。着席したら、ご本尊に合掌、お念仏、礼拝することをお忘れなく。

帳場

つぎにご法礼を納めます。ご法礼はお布施です。お布施はお志なので定額ではありません。千円から五千円の間が多いようです。ご法礼は法座中一回おさめれば何度参っても結構です。

たとえば、二日間の日程で四席つとまる場合、四席ともご法礼を納める必要はありません。また、ご夫婦やご家族づれでも人数分ではなく、一回でおさめるケースが多いようです。

読経

時間になると最初は「おつとめ」です。せいてんがない方もおわたしします。一緒におつとめいたしましょう。

法話

いよいよお聴聞です。 法話は前後半にわかれてそれぞれ35分程度あります。 途中の入退室は周囲の迷惑にならないように気をつけましょう。

※法話は「お楽しみ」です。説教ときくと「難解」なイメージがありますが、わかりやすくお話しくださるご講師がほとんどです。また、聴けば聴くほど味わいが深まっていきます。ともに聴くお友達もできます

第五章 法事

1. 法要の心得 ~大切におつとめいたしましょう~

  • 故人を偲び、命日をご縁として仏法に遇わせていただく行事です。
  • 1周忌、3回忌の後は、「7、13、17、25、33、50」回忌で、以降は50年ごとです。
  • ご縁の方にはできるだけ案内し、尊い聞法の場としましょう。

2. 法要の準備

  • 前日までにお仏壇を入念に掃除し、お荘厳(お飾り)を整えます。
    1. 普段の三具足から五具足にします(香炉、ロウソク1対、花瓶1対)
    2. 打敷を掛けます。
    3. お供え物(餅・菓子・果物)・ロウソク・花瓶等、きちんと左右対称にします。
    4. 電球がきれていないか確認。ロウソクも新しいものを使用します。
    5. 過去帳は故人の頁を開いてください。
    6. 経卓の脇に焼香用の盆、お客様が供えるお香料(御仏前)の盆を準備しておきます。
  • 住職の着替える場所をご用意ください(別部屋でなくても構いません)。
  • 礼服にこだわることはありませんが、落ち着いたものにします。
  • 家にある聖典をすべて準備ください。聖典は家族分あることが望ましいことです。
    1. お寺で販売しています(1冊250円)。
    2. 古くなった聖典は住職が持ち帰りお供えしてしかるべき処分をいたします。

3. 本堂の場合

  • 本堂に入る際は、かならず一礼し入堂します。その後、尊前で合掌(念仏)・礼拝し、イスにご着席ください。
  • お布施・お供えを住職にお預けください。仏前へお供えいたします。
  • お客様の御香料(御仏前)等もお供えいたします(法事後にお返しします)。

4. お斎(とき)について

  • 準備が整った後、主人は末席から挨拶します。
  • 「献杯」も良いですが、「合掌」・「食前の言葉」も推奨します。
  • 【食前のことば】
    (一人):多くのいのちと皆さまのおかげによりこのご馳走をめぐまれました。
    (一同唱和):深く、ご恩をよろこび、ありがたくいただきます。

  • 本堂での法要の後、隣にある門徒会館もご利用できます(会館利用費:1万円)

5. その他の心得

  • 法事へ招かれて行く場合、施主宅に着いたら、まずお仏壇の前に進みご本尊に合掌礼拝します。その際に「キン(お鈴)」は鳴らしません。御香料(御仏前)等をお供えします。
  • 故人への最高の追慕は遺された人々が仏法をお聴聞することです。法事をつとめた年は特に時間をやりくりして、各法座にお聴聞にお参りください

その他の法要

  • 入仏式:新しくお仏壇を購入した時におつとめします。
    ※関連:遷仏式(お仏壇を引っ越す時)
  • 建碑式:お墓を初めて建立した時におつとめします。
    ※関連:納骨式、遷墓式(お墓を移す時)
  • 初産式:家庭に赤ちゃんがやってきた事をご縁に本堂でおつとめします。
    ※関連:仏前結婚式
  • 納車奉告式:車を購入した時におつとめします。
    ※注意:車のお祓い(安全祈願)ではありません。大きな買い物ができた事を仏前に奉告します。

第六章 葬儀

葬儀とは

この世での最後のお別れをする儀式です。亡き人を縁として、改めて生かされているいのちの尊さを知らされます。

念仏の道のかけがえのなさを教えられる時です。 世間にある風習や俗信、迷信に振り回されることのない葬儀を執り行います。

葬儀の手順

1. 寺院への連絡

  • あわてなくて結構です。深夜にお亡くなりになった場合、翌朝ご連絡ください。

2. 臨終勤行(枕経まくらぎよう):人生の終わりに臨み、永年導いてくださって阿弥陀如来へのお礼

  • ご遺体の安置は、無理に北枕にする必要はありません。
  • 仏壇のお飾りは、打敷は裏地(白)とし、花は白か青木にします。
  • 遺族代表者(喪主)を決めます。
  • 故人の法名を確認します。

3. 通夜勤行:葬儀前夜に近親者知人等が集まり故人を偲びつつ、み教えに出遇う場

  • ご本尊の前でお参り(おつとめ。正信偈)をします。一緒につとめましょう。
  • 水や茶、一膳飯は供えません。

4. 葬儀(告別式とは言いません)

  • 葬儀は、最期の厳粛なおつとめです。そのため、おつとめ中は会葬者への答礼は慎み、遺族代表挨拶を通してお礼申します。
  • 阿弥陀如来の前で遺族が故人とのお別れをご本尊の前でお参り(おつとめ。正信偈)をします。一緒につとめましょう。
  • 俗信・迷信に振り回されないようにしましょう。
    例)①清め塩。②出棺の時、茶碗を割ったり棺を回す。③火葬場からの帰りの道順をこだわる。

5. 還骨勤行(灰葬参り)

  • 火葬場からお寺へ来て、最期のお勤めをします。場合によっては初七日も一緒に。
  • 今後の中陰法要(七日参り)、満中陰法要(喪が明ける節目の法要)を相談します。

初盆

葬儀後、最初のお盆を「初盆」といいます。

7月下旬から8月の中旬で都合の良い時間を決め、おつとめ(『阿弥陀経』の六方段)します。

仏壇のお飾りは喪中と同じく「お荘厳の打敷は裏地(白)とし、花は白か青木に」します。

納骨

納骨の日取りに決まりはありません。一緒に「納骨式(法要)」をします。

第七章 その他

門徒講金

  • 門徒講金は、本山への納付金・寺報の発行・本堂の護持などに大切に使われております。ご理解ご協力の程何卒宜しくお願い申しあげます。
  • 門徒講金は、年間「4,000円」です(令和4年現在)。

お世話人

地域によって、「お世話人制度」をもうけています。お世話人の期間は、一部を除いて、「一年間」です。一月の行事「報恩講法要」が終ってから、次の「報恩講法要」までです。

現在、次の仕事があります。

1.
配り物:法座の10日前に発行する寺報などを配っていただきます。
2.
門徒講金あつめ:5月頃にお願いしています。
3.
法座の奉仕:法座後の片付けをお願いします。担当地区はカレンダー(直枉カレンダー)の下の「年間法座」に記載してあります。

本堂・会館利用費(葬儀・法事)

葬儀:100,000円

1.通夜・・・
本堂にて勤修:本堂利用費用=30,000円
2.葬儀・・・
本堂にて勤修:本堂利用費用=50,000円

会館利用費用=20,000円

法事の会食:10,000円

  • 門徒会館にて、一日一席のみです。
  • 会食時間=12~15時。
  • 人数30人まで可能(全椅子席)
  • 料理の仕出し店は自由です
  • サロンを使用できます
  • 本堂・会館利用費は全額「門徒講金」に入金いたします。

お墓

1. お墓の建て方

  1. まずはお寺へ相談ください。
  2. 形に決まりはありませんが、石碑の正面は「南無阿弥陀仏」か「倶会一処(くえいっしょ)」。
    家名は台石に刻むのがのぞましいでしょう。
  3. 「吉日」の文字は刻まないようにしましょう。
  4. 「霊標」ではなく「法名碑」と刻みましょう。
  5. お墓が建ったらお祝いの「建碑式(けんぴしき)(法要)」をつとめます。
    「お性根(しようね)いれ」「開眼法要」とは言いません。

2. お墓について

  • 浄土真宗のお墓は、「先祖の願いを聞き仏法を味わう場」です。
  • 姓の違う故人でも納骨できます。「遺骨=故人」でありません。

食前の言葉

※食時での「合掌」は毎日の事だけに、感謝の心を養うために大きな意味があります。

1. 作法

1.
箸を置いて全員が合掌する。
2.
一人が「多くのいのちと、みなさまのおかげにより、この御馳走を恵まれました」
3.
全員で、「深くご恩を喜び、ありがたくいただきます。」
※「いただきます」の時に礼拝する。

2. 食後の言葉

食事の後は、各自「合掌、「ごちそうさまでした」、礼拝」でも結構ですが、できる時は全員で「食後の言葉」を。

1.箸を置いて全員が合掌する。

2.一人が「尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。」

3.全員で「おかげで、ごちそうさまでした。」

浄土真宗の言葉づかい

「門徒物忌知らず」というように、浄土真宗では「忌み言葉」というものがありません。

「あんな事をいったら縁起が悪い」という習慣はありません。

だからこそ浄土真宗にふさわしい言葉遣いをみにつけたいものです。

【不適切な言葉】 【適切な言葉】
戒名(かいみょう) 法名(ほうみょう)
霊、みたま 故人
御霊前 御仏前
天国、黄泉、冥土 浄土、み仏の国
草葉の陰で お浄土で
永眠する、昇天する 浄土に往生する
安らかにお眠りください 私たちをお導きください
冥福を祈る 哀悼の意を表す、謹んでお念仏申す
祈る・黙祷 念ずる
回向をたまわる 読経、お勤めいただく
追善供養 追悼法要
永代供養 永代経
告別式 葬儀

その他

【不適切な言葉】 【適切な言葉】
和尚さん ご院さん、住職さん
性根入れ、開眼法要 建碑式
※その他にもいろいろあります。随時更新していきます。

これだけは知っていてほしい事:「浄土真宗の教章」

ご本尊は? 宗祖(ご開山)は? 聖典は?

教義についてご不明な点は、住職までおたずねください。